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Rin'sPage 函館&佐藤泰志

2002年佐藤泰志を知るも本が絶版で、2005年まで函館に通い佐藤泰志探求をした*りん* (東京在住)のブログ。更新情報はツイッター @rinspage1 にUPします。

そこのみにて光輝く&海炭市叙景 に登場する 墓

そこのみにて光輝く 海炭市叙景 佐藤泰志

明日は佐藤泰志の命日です。今日は、小説にでてくる墓と彼自身が眠る墓について書きます。

 

彼女は海峡にのぞんでいる山の、町全体を俯瞰できる中腹の共同墓地に両親の墓を建てたがっていた。

小説そこのみにて光輝くより引用

 

そこはなだらかな斜面だった。(中略)最も見晴らしのいい場所にガラス張りの管理事務所がある。墓のサイズは背の低いコンパクトなもので、すべて同型だった。(中略)まるで陽をさんさんと浴びたドミノのようだった。

小説「滴る陽のしずくにも」より引用(そこのみにて光輝く の続編)

 

東山墓園 

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私は2002年に佐藤泰志を知り、その頃入手した追想集で、彼が函館の東山墓園に眠っている事を知り、その年の12月に墓参りに行きました。実際の墓地は小説の描写と符合しており、上の写真の奥の建物が管理事務所かな?など照合をしながら、彼を偲びました。 

 

墓地から見た函館山

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海炭市叙景 第一章「ここにある半島」は墓園の管理事務所に勤務する女性が主人公で、春の季節の物語。光の描写がふんだんにでてきます。私が墓参りに訪れた冬は、綺麗な夕日がたくさんの墓を照らしていました( 青字は 「ここにある半島」より引用)

 

春の陽射しが、その丘の隅々にまで行き渡っていた。(中略)そこからは市の街並みが一望のもとに見渡すことができる。

 

町は箱庭のように海上に浮かび、その先端に四百メートル足らずの山が見える。(中略)あの中に一歩入り込めば、どこにでもある地方の都市にすぎない。とりわけ、繁華街は。けれども、街を正反対の方角から眺めるのは少し奇妙だ。裏返しにした感じだ。裏返しになっているのは自分かも知れない。たぶんそうだ。

 

彼は常に人や社会の裏側に光をあてて、魂を削って作品を生み出していました。10月10日は彼の命日で今年は27回忌。死後の世界があるかはわかりませんが、作品が復活をした今、彼の魂がおだやかにこの墓園で眠っている事を願います。